以下、ニュース記事。
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政府は、身体障害など「障害者」の定義について、抜本的な見直しに乗り出す。従来は個人の問題として心身の機能に注目する「医学モデル」だったが、社会参加を難しくしている社会の側の問題を重視し、必要な支援を把握する「社会モデル」への転換が狙い。「障がい者制度改革推進本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)内に設置され、12日に初会合を開く「推進会議」で議論に入る。
障害者については、障害者基本法で「身体障害、知的障害、精神障害があるため、日常生活または社会生活に制限を受ける者」と定める。さらに、身体障害者福祉法など障害ごとに福祉法令があり、それに基づき障害者自立支援法や障害者雇用促進法などが運用されてきた。例えば身体障害では、視覚や聴覚、肢体のほか、腎臓や心臓の障害、HIVは対象だが、他の多くの内臓や免疫系などの障害は対象外だ。
しかし、対象外の人でも社会参加が難しい例は少なくない。見直しでは、障害者は「社会参加に支援やサービスが必要な人」との考え方を基に、一人一人の経済状況や住環境などを踏まえて障害者として認定する定義のあり方を検討する。
政府が07年に署名した国連障害者権利条約は障害者について、「障害のある人であって、さまざまな障壁との相互作用で、平等に完全に参加するのを妨げられる」状態などととらえる。日本は条約を批准していないが、鳩山首相は昨年12月の改革推進本部設置の際、批准へ向け法整備を急ぐよう指示した。
見直しは、障害福祉だけでなく雇用や教育など国内法全体に影響する。「推進会議」メンバーで車椅子を使う尾上浩二・DPI日本会議事務局長は「障害を個人の問題でなく、移動や就労など参加を難しくしている社会の制約の面からみる。参加に必要な支援を促すもので、大きな転換となる」と指摘している。【野倉恵】
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NPO法人スウィングさんに関わらせていただいている関係で、こういった世界に自然と興味が向くようになって、早数年。
障害者関連の法令や行政は、なんだかすごくややこしくて、のんびりしたキャッチアップではなかなかついていけません。
また、偏見や差別といった問題もあり、ここには感情論や価値観まで含まれてきてしまう。
非常に入り組み合った、繊細な問題(アジェンダ)だと感じます。
今回の「医学的見地からの障害者区分ではなく、社会的見地からの障害者区分への定義変更」ということ。
これを、文面通りに受け取れば、障害を持つ方々に対し現在よりも現実に即した対応に変わるのではないか、と期待もできます。
が、どうしても、そう一筋縄ではいかないのじゃないか、という危惧が拭えなかったりもして。
何らかの保障の枠や額が結果的に増えるのであれば、そのお金はどこから持ってくるのか?という点でも紛糾しそう。
また、児童の発達障害その他でもよく言われますが、「結局”障害者”を量産するだけ」→「より、”差別”あるいは”区別”を促進するだけ」になるのではないか、という議論も出てきそうな気もします。
がまぁ、記事を見る限り、拡大(?)されるのは、主に身体障害の枠になるのかしら…?
この少ない情報ではなんとも言えないわけですが、注視していきたいトピックではあります。